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京都の文化にふれることができる散策。

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京都には、長い歴史の中で、御所(京都御苑)があり、
江戸時代まで天皇が住んでおられたこともあり、
比叡山をはじめとする古い社寺などの文化財も多数、残っています。
このような立派な社寺などの観光地を回ることでも十分、
文化にふれることができるとは思うのですが、京都に在住している者として、
お勧めの散策コースをご紹介したいと思います。
京都市地下鉄の東西線の蹴上駅から南禅寺へのコースです。
南禅寺は、あまりにも有名な臨済宗の南禅寺派大本山で、
その三門は、重要文化財でもあります。

諸説あるようですが、この三門から京都市内を望み石川五右衛門が、
「絶景かな」と感嘆したらしく、今の「絶景」の語源となっているようです。
また、奥にある方丈という建物が、国宝でもあります。
特に春は桜、秋は紅葉がきれいであることにもあわせて、
これだけでも文化に十分触れたことになると思います。

ところが、それだけで、帰ってしまうのは、あまりにももったいないです。
方丈付近に行くと右手に水路閣が見えます。
「南禅寺に行ったことがあるけど、水路閣は、まだなの」という
行者の話を聞いたことがありますが、すぐそばにあります。
水路閣は、滋賀県の大津から琵琶湖疎水を通ってきた水を運ぶ、
百年以上も前の水道橋で、そのレンガ造りの雰囲気は、とても素敵で、
本当に文化の香りがして、感動すると思います。
また、この水路閣の琵琶湖疎水の水路は、永観堂を経由して、
哲学の道をとおり金閣寺まで続いています。

ここまでで、多くの南禅寺への旅行者は、帰ってしまいます。
でも、あと5分か10分、琵琶湖疎水をみてもらいたいのです。
琵琶湖疎水は、1890年と1912年の2回にわたり完成した、水路とトンネルです。
水が少ない京都盆地に田邊朔郎をはじめとする技術者が設計し、水を引いたのです。
現在では、容易な土木建築工事のようですが、
当時では、本当に大変な工事となりました。
水路を作り、交通の難所であった山にトンネルを掘り、開通させたのですから。
この水路は、物流にも大きく貢献しました。
舟を浮かべて、運搬したのです。
京都の蹴上に到着した舟を鉄軌道(線路)に乗せて、
南禅寺の参道付近の疎水まで、運搬しました。

これをインクラインといいます。
このインクラインも復元されて、屋外に展示されていますし、鉄軌道は、当時のものです。
これに加えて、高低差を利用して、水力発電も行いました。
これが、日本国内で実用化された最初の水力発電所です。
この水力発電所も今でも残っています。
ちなみに電気の街灯の普及は、この水力発電所が寄与しました、
また、それでも電力が余るので、京都の町に電車を走らせました。
これが、日本で最初の電気鉄道です。
このような「京都を創った男」とも言われる田邊朔郎の顕彰碑と銅像も、
水力発電所の前の公園に建っています。

これらは、南禅寺の参道入口から、10分も歩かない場所にあります。
でも、田邊朔郎像あたりは、多くの観光雑誌にも載っていません。
だから、あまり行く人がいず、私が、午前8時台に行くと、
観光ピーク時以外は、ほとんど誰も観光客がいないことが多いです。
ここまでで、琵琶湖疎水のお話は、すべてではありません。
先ほどの南禅寺参道から少し動物園より歩くと、「疎水記念館」が見えます。
入場料無料でありながら、琵琶湖疎水建設当時の本物の資料で、
詳しく解説されています。
京都で文化にふれることができる散策としては、南禅寺付近が、お勧めです。


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